相生古こぼれ話 第94回「ペーロン」

5月の最終日曜日に行われるペーロン祭り。ペーロンのドラの「ドンデンジャン」の音を聞くと気持ちが高揚する人は多い事でしょう。32人の人たちの櫂がそろうと何か龍のような荒々しさも感じます。子供たちはその風景をどのように感じていたのでしょうか。

~Sakki談~

ペーロンのドラの音を聞くとああ夏がきたなあと感じます。子供の頃からの相生湾のさわやかな音風景です。

sakkiは若いとき何年間か乗ったことがあります。やっぱり参加した方がペーロンは面白いですね。昔は男性しか参加できませんでしたが、今は女性も乗ることができ、男女混合チームもあります。たくさんの人に乗っていただいてペーロン祭りの面白さを知って欲しいですね。

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相生いにしえこぼれ話 第94回 「ペーロン」

ペーロンが相生に移入されたのは、大正11年のことであった。

「ドンデンジャン」「ドンデンジャン」と聞こえるドラや太鼓の音が、港の方から流れ込んでくると、子供たちはどんなに遊びに夢中であっても、「それっ!ペーロンだ!!」と波止場に向けて一散に駆け出したものであった。

 まだ西の空が明るい晩春の夕べのことで、当時はこの時間になると、決まったようにペーロンの練習が行われ、物珍しいものであっただけに、子供心を魅了することになったようだった。

 今にも沈んでしまいそうに見えるほど、船脚(ふなあし)を水面すれすれにしたペーロン船が、櫂をムカデが動くように揃えて、飛沫をあげながら進むのを見ると、日の浦通いのポンポン船より早いように思われた。

 やがて、波止場で見守っている子供たちに威勢のいい乗り組みの人々の顔がはっきりわかるまで、舟は岸に近づいて来る。その中に顔見知りの近所のおじさんを見つけ出すと、子供たちは一斉に歓声を投げかけた。ペーロン船の漕ぎ手たちも、手にした櫂を高々と差し上げて波止場からの歓声に応えてくれたものだった。

 こんな海と岸からの交歓が、子供たちにペーロンへの淡い憧れに似た気持ちを抱かせたのである。

 ほんのひとときのデモンストレーションを波止場の人々に見せると、ペーロン船は鉦の乱打で船首を竹島の方に向けると、スローテンポになった鳴り物の調子にのって、揃えた櫂が船脚から飛沫を跳ね上げてゆっくりと港から遠ざかっていくのであった。

 子供たちは船が視界から消え去るまで心惜しげに見送ったものであった。

今回は江見錬太郎著「ふるさと想い出の記」より引用しました。

(相生らじお「古こぼれ話」は見えるらじおを目指しています)

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